本文へジャンプ

平成27年 校長年頭挨拶

1月5日(月)11時から本校大会議室において、村本校長から年頭の挨拶が行われました。概要は、以下のとおりです。

P1040928.JPG P1040935.JPG

平成27年、乙未(きのと・ひつじ)の年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

羊は中国の吉祥動物(めでたい善良な動物)のひとつです。「羊致清和」(羊は天下泰平をもたらす)という言葉があり、『未年』は平和で穏やかな年になると言われています。また、「群」の字にもあるように群れをなす羊は「家族の安泰や財を成す」を意味するようです。
現代社会は、宗教や民族の対立、エネルギー資源や環境の制約、さらにはグローバル化した経済など世界には様々な問題が横たわっておりますが、今年が平和で穏やかな年になり、また経済の好循環がいっそう進み景気回復の動きが確実なものとなる年になることを期待します。

本年は第2次世界大戦終結の1945年から70年目にあたります。戦後日本は焼け跡からの復興、そして高度経済成長を成し遂げ、バブル経済は崩壊したものの、今日、世界の中では豊かで便利な最長寿国になりました。しかし、70歳以上を別にすれば、1945年当時の荒廃ぶりを想像できる日本人はほとんどいなくなりました。あらゆる分野でグローバル化された現代では、一国のみの繁栄はありえず、特に資源の乏しい我が国は世界と共に歩んでいかなければなりません。今後ますますグローバル化が進む国際社会を生きていくことになる日本国民は、自国の利益だけでなく、地球的な課題や困難にも目を向け、世界の人々と協調できるよう努めなければなりません。本校では第4学年の全学生の海外研修が実施されます。他国の同世代の若者と語り合う機会となることを願っています。

昨年度は本校が主幹して「全国高専教育フォーラム」が金沢で開催されました。これを機に、このフォーラムのこれまでの歴史を改めて振り返ってみたいと思います。高専制度は昭和36(1961)年に創設されました。そして、昭和38年8月7-8日に第1回全国高等専門学校教官研究集会が文部省内の会議室で開催されました。当時、高等専門学校制度は前例の無い5年一貫の高等教育制度であり、この制度の趣旨に即した教育の開発と、教官の資質向上を図ることを目的として熱心な研究討議が行われました。翌年度は高専の増設により参集教官数が増えたため、東日本と西日本の2会場に分かれて実施され、その後、形態を変えながらも継続され、平成22年度から、これまでの高専教員研究集会と他の教育研究発表会等が統合され、国立高専機構主催の「全国高専教育フォーラム」として千人近い規模の研究発表の場となり、昨年8月26-28日に本校が主幹校となり第5回目の「平成26年度 全国高専教育フォーラム」(※)が開催されました。
高専制度が創設されて以来50年以上が経過し、創設時の実践的な技術者の育成から、創造的・実践的な技術者、更にはグローバル化に対応できる人材育成が求められるようになりました。このように絶えず改革し進化している高専教育をより確実に実施するために全国の高専教員が参集して行われている「全国高専教育フォーラム」は高専教育の課題や成果を発表し、討論するための重要な場であり、本年は仙台で開催され、今後も継続されていくものと期待します。
石川高専は本年、創立50周年を迎えます。これまでの本校の卒業生は7千人を超え、彼らの活躍のお陰で、社会からの高い評価を得ることができるようになりました。これまでに築き上げた本校の信頼と良き伝統を継承しつつ、さらに時代の変化を的確に捉え、新たな発展を遂げなければなりません。

中国宋代の禅の仏教書『景徳伝灯録』に「冷暖自知」という語があります。「人は水を飲んで初めて、その冷たさや暖かさを知ることができるように、自ら体得することの大切さ」を説いています。これは仏教や禅の教えであるにとどまらず、人間生活のあらゆる局面においても当てはまります。子供が言葉を覚えるときに冷たいものや暖かいものに触れて、その意味を理解していきます。また、人の運動や動作の中で、自転車の乗り方、箸の持ち方、泳ぎ方などでは、やり方を聞いただけでは容易にマスターできません。さらに、運動だけなく、脳の発達や心の成長にも実際の体験が大切と言われています。
本校では実際の体験を重視した教育を行っています。理科や専門科目の授業では教科書に載っている原理や法則は実験で確認します。工学実験や実習も多く取り入れております。学生は放課後には部活動や高専ロボコンなどの各種コンテストに励んでいます。各学年の複数名の外国人留学生が日本人学生と共に学んでおり、お互いに異文化に接しております。第4学年では、企業での就業体験(インターンシップ)や、海外に進出している企業見学や現地の大学生との交流を目的とした海外研修旅行を実施しております。昨今はインターネットにより、仮想空間で様々な疑似体験が可能になっておりますが、実物に触れ、実際に体験することを通して人は成長できるものであり、これは50年以上に亘る高専教育の原点と言えます。中学校を卒業して15歳から20歳までの5年間を本校で過ごす学生諸君に、学業とともに様々な実体験を通して大きく成長できる恵まれた環境を今後も提供していく所存です。
高専制度の特徴の5年一貫教育は、大学入試のための特別な勉強に時間を取られることなく、専門科目を学ぶために必要な基礎知識を十分に身に付けてから、高度な専門分野へと進むことができます。この5年一貫教育のメリットを活かした実学教育の伝統を今後も継承し、創造性豊かな実践的技術者の育成という使命を確実に果たせるように教職員が一丸となって全力で努力して参ります。さらに、産業界からは国際的にも通用する人材の育成が求められており、グローバル教育をいっそう発展させるよう取り組んでいきたいと思います。

「日計足らずして歳計余り有り」ということわざがあります。「日々の計算では儲からないようなのに年間を通すと儲かっている」と解釈されます。本校の人材育成教育について考えてみましょう。まずは、理工系を目指そうとする小中学生を増やして、彼らに本校を志願してもらえるような地域貢献や広報活動をしなければなりません。そして、本校へ入学してきた学生には、毎日のきめ細かい教育を5年間実施しなければなりません。いずれも、日々の目では労が多く益が少ないように感じるかも知れません。しかし、このような日々の積み重ねの結果、5年後の卒業時には学生の希望する進路(就職・進学)へ送り出すことができ、最終的には目標を達成できることになります。逆に、目先の成果にとらわれて、長い目での地道な努力を怠ると結局は目標へ到達できなくなります。

石川高専の創立50周年にあたる本年は、50年間の実績に基づく教育をさらに充実させるとともに、次の50年に向けての新しい一歩を踏み出す年になるように教職員が一丸となって努力して参りたいと思います。

多くの方々のご理解、ご支援をお願いいたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

 

※全国高専教育フォーラム
http://www.ishikawa-nct.ac.jp/blg/blg/20140918-1019.html