校長挨拶

   石川工業高等専門学校は、実践的創造的な研究開発型の技術者を養成する高等教育機関です。独立行政法人国立高等専門学校機構が設置する全国51の高専の1つとして、中学校卒業後、本科5年又は専攻科まで7年の早期からの一貫した専門教育により、我が国産業界、国・自治体、教育機関はもとより、国外でも活躍できる人財を育て、送り出しています。創設以来の本科卒業生は令和3年度末まででのべ9,000人ほどになりました。

    高等専門学校の制度化は昭和37年、本校創設は昭和40年、高度経済成長の真っただ中、技術が我が国社会の発展をリードした時代でした。その後のオイルショックや省エネ・環境問題などの時代、あるいは日米経済摩擦等の時代においてもそのたびに、関係者の創意工夫で新たな技術が産み出され社会実装され、さらなる発展が実現されました。バブル景気とその崩壊や世界金融危機の時代においても地道な技術開発が社会の進展を支えていたことに変わりはありません。そして今日、再びモノづくり日本として、あるいはSDGsや世界政治経済の激変を乗り越える力として、技術に大きな期待がかかります。一方、少子高齢化の下、技術者減少が進めば技術を紡ぎ出す力が削がれることにも注意が必要です。このような状況で、本校の担う技術者養成の機能はますます重要になっています。

校長 嶋倉 剛

   現在本校では総計約1,100人の学生が在籍し、本科5年間では、創造性や積極性を身につけ、国際社会へも柔軟に溶け込める技術者となるべく、またその後の専攻科の2年間では,より高度な専門知識と技術を身につけた研究開発型の技術者となるべく、日夜勉学に励んでいます。本科4年生から専攻科2年生までの4年間を対象に設定している「創造工学プログラム」【JABEE(日本技術者教育認定機構)認定の国際的に通用する技術者養成プログラムです】で学ぶ学生も多数います。

   現在の本科卒業生の多くは社会の第一線でグローバルに活躍し、また、さらに勉学をするために本校専攻科や大学へ進学する学生も多く、その比率はほぼ6対4となっています。就職については、地元志向の学生が一定数いる一方で、全国規模の企業を選択する学生も多数います。

  また、地域と協同したまちづくり、環境保全などはもちろん、共同研究や技術相談、先端技術の地域産業への移転等により地域社会や一線の技術者を支えていくことも、本校の重要な役割です。

   大きく変化する今日を実践的創造的に切り拓いていく技術者を、石川高専は育て支えていきます。

                                                                                                             2022年4月

嶋倉剛校長 略歴

1987年 3月 京都大学法学部卒業
1987年 4月 文化庁著作権課
1988年 5月 文部省大臣官房総務課審議班
1990年 4月 〃 学術国際局学術企画室審議係長
1991年12月 〃 生涯学習局生涯学習振興課民間教育事業室民間教育事業係長
1993年 8月 〃 教育助成局財務課法規係長
1994年 9月 宮城県教育委員会総務課長
1996年 9月 文部省教育助成局地方課補佐
1998年 7月 〃 大臣官房総務課補佐(併)中央省庁等改革推進本部事務局参事官補佐
2000年 4月 〃 生涯学習局生涯学習振興課補佐
2001年 1月 文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課補佐
2001年 4月 〃 生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興企画官
2001年 9月 〃 初等中等教育局財務課教育財政室長
2002年 7月 日本育英会企画広報部企画課長
2004年 4月 (独)日本学生支援機構企画部総合計画課長(併)調整室長
2005年 7月 文部科学省スポーツ・青少年局企画・体育課企画官
2007年 4月 〃 科学技術・学術政策局調査調整課長
2008年 5月 下関市教育委員会教育長
2011年 4月 文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ振興課長
2013年 4月 (独)日本学生支援機構政策企画部長
2015年 7月 福岡教育大理事・副学長
2020年 4月 香川大学理事・副学長
2022年 4月 石川工業高等専門学校 校長