質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)

学習達成度試験による専門教育の質の保証 

−インストラクショナルデザインの活用−

 
 
 

 入試方法の多様化や特徴ある教育を実施する教育機関の増加により、これまでに比較して多様な学習履歴を有する学生が本校に入学するようになってきている。その結果として、本校への入学生の興味・関心や学力レベルが多様化しており、これまでと同様の教育方法では、本校の教育課程に寄せられる学生・保護者および社会のニーズに応えることが難しくなってきている。

 さらに、電子・情報工学およびその隣接分野は発展を続けており、教育内容を新しい技術に対応させなくてはならないという要求が絶えず存在する。限られた人的資源で多様な新技術に対応していくためには、他の高等専門学校との連携やeラーニングコースの開発などに対する取り組みが必要である。

 このような学生・保護者および社会からの多様なニーズに応えるためには、「学生の質の保証」と「学生の意欲喚起・多様な興味関心への対応」を同時に実現しなければならない。

 そのため本校ではこれまでに全国55キャンパスの高専の既存の教育資産を互いに有効利用できる「高専間教材共有システム」や、多くのe-Learningコンテンツの開発・活用を行ってきている。また、本校の中期計画・中期目標では、卒業生の質の保証の方策の一つとして、専門科目における学習達成度試験を、高専本科4年次の学生を対象として、平成20年度から導入することとしている。学習達成度試験は、全国55校の国立高専において平成18年度に3年次学生に対し数学を、平成19年度には同じく3年次学生に対し数学・物理について、共通の試験問題で一斉に実施している。しかし、専門科目における達成度評価の枠組みは、個別の高専において検討が始まった段階であり、これを定着させる取り組みが必要とされている。専門科目に対する達成度試験は、成績の総合評価の概念を取り入れて複数科目をカバーする実力試験として実施することにより、卒業生の質の保証・評価に資する有力な方策の一つであると考えている。

 本取組では、上記のニーズを満たすために学習の効果・効率・魅力向上を図る方法論であるインストラクショナルデザイン(ID:instructional design)手法を活用し専門基礎教育システムを確立する。具体的には、分析・設計・開発・実装・評価のIDプロセスに基づき、効果的で魅力的な教授方法をデザイン(設計)し、不足する小テスト、講義ビデオ、e-Learningコンテンツなどの教材開発、iPodなどの小型情報端末を用いて作成した教材の効果的な運用を行う。例えば小テストの実施・採点・授業への即時フィードバック、自学自習へ利用する。また、専門学習達成度試験による評価ならびに改善を実施する。これによって専門基礎教育の質を保証すると同時に、意欲ある学生向け対応を行う。

 

取組について