郷土愛育成による環境改善教育システム構築 石川工業高等専門学校問合せリンク
取組の概要河北潟に学ぶ河北潟に還す河北潟フォーラム活動レポート

19年度活動報告【日本文学】

第4学年 日本文学担当教員 高島 要

持ち場と意義

 現代GPの環境改善教育のベースをなす「郷土愛育成による」を具体化する一つの担い手。第4学年「日本文学」では,「河北潟」に関わる文学資料をもとに教材を作成し,文学の面から「郷土愛を育成する」学習を展開する。

日本文学の教材研究

○小説 五木寛之『内灘夫人』・舟橋聖一『海の百万石』
○随筆 杉森久英「河北潟」(川端康成編『湖』所収)
○写真 岩波写真文庫19『石川県−新風土記』・同93『金沢』・同239『北陸路』

『内灘夫人』

 作者の五木寛之自身,青年期に金沢に在住して作家活動に入っていったのだから,彼は金沢といわず内灘といわず,それは「第二のふるさと」なのである。小説『内灘夫人』にも60年代当時の内灘砂丘から河北潟の情景が,小説の背景として描かれる。『内灘夫人』にみる60年代の河北潟,ちょうど干拓の最中だった河北潟を読む。

『海の百万石』

 江戸時代末期河北潟の干拓計画に挑戦した,豪商銭屋五兵衛をモデルにした歴史小説である。文章からは壮大な歴史絵巻が読み取れるが,あわせて講談社版の中川一政の表紙絵,河出版の岩田専太郎の挿絵も見どころ。東映で映画化されて大ヒットしたことも忘れがたい。

「河北潟」(『湖』)

 七尾市出身の直木賞作家に杉森久英がいる。杉森が随筆「河北潟」を発表したのは,1961年。だから,河北潟はまだ干拓されてはいない。その後ほどなく国家プロジェクトの大干拓事業が始まり,河北潟は大半が農地と化した。杉森のこの随筆は,河北潟でまだ漁業などが盛んに行われていた時代の最後を記すものとなった。河北潟の鮒釣りの様子を生き生きと伝える好きエッセイ。収録する川端康成編『湖』も当時の日本を映す湖沼紀行となっている。